年齢とともに目や耳の機能が変化するのと同じように、お口の機能も徐々に変わっていきます。「飲み込みにくさを感じる」「お口の乾燥が気になる」といった変化は、実は自然な加齢現象の一つです。
しかし、口腔機能の低下は単なる老化現象ではありません。見た目や会話、食事や栄養摂取に直接関わり、全身の健康状態にも深く影響します。だからこそ、機能低下が進行する前の早期発見と適切な対応が重要なのです。
当院では、お一人おひとりの状態に合わせた丁寧な診断を行い、口腔機能の維持・改善に向けた具体的な指導をご提供しています。継続が難しい訓練も、私どもが患者さまと一緒に取り組み、しっかりとサポートいたします。健やかな毎日のために、お口の機能を守る取り組みを始めませんか。
お口の健康を維持するために欠かせない口腔機能は、5つの重要な役割から成り立っています。これらの機能は密接に連携しており、どれか一つでも衰えると、他の機能にも影響が及んでしまうという特徴があります。
食べ物を唾液と混ぜ合わせながら細かく噛み砕き、飲み込みやすい状態に変化させる機能です。
感覚は、味や温度、痛みなどを正確に感じ取り、お口の中の状況を脳に伝える重要な働きを担っています。
唾液は消化を助けるだけでなく、粘膜の保護や細菌の除去、歯の再石灰化など、多彩な作用でお口の環境を整えます。
嚥下機能は、咀嚼した食べ物や飲み物を安全に飲み込む役割を果たします。
舌や唇、あごの絶妙な動きによって、思い通りの音を作り出す機能です。
これら5つの機能が調和することで、快適な食事と円滑なコミュニケーションを楽しめるのです。
日常生活の中で、以下のような変化を感じることはありませんか?
お食事の際の以下の症状
また、「食事中にむせることが増えた」「お口の中の乾燥が気になる」「口臭が以前より気になる」といったお悩みも、口腔機能の変化を示すサインかもしれません。
これらの症状は、単なる加齢現象として見過ごされがちですが、実は口腔機能低下の初期症状である可能性があります。早めに適切な対応を行うことで、機能の維持・改善を図れます。思い当たる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
口腔機能低下症は、年齢を重ねることで起こるお口周りの筋力低下が主な原因となり、食べ物を噛む力や飲み込む力、話す機能、唾液を分泌する働きなどが段階的に衰えていく症状を指します。
この症状は、目が見えにくくなったり、耳が聞こえにくくなったり、足腰の筋力が弱くなったりするのと同じように、自然な老化現象の一部として現れます。つまり特別な病気ではなく、長い人生を歩む中で誰もが経験する可能性のある変化なのです。
重要なのは、適切な対応によって機能の維持や改善が図れる点です。早期に気づきケアを行うことで、快適な食事や会話を長く楽しめます。
口腔機能低下症を何もせず放置してしまうと、深刻な健康問題に発展する可能性があります。
最初に現れるのは食生活の変化です。噛む力が弱くなることで、自然と食事量が減少し、柔らかい食べ物を中心とした食事パターンに偏っていきます。この変化は一見些細に思えますが、実は全身の健康に大きな影響を及ぼすのです。
十分な栄養摂取ができなくなると、全身の筋肉量が減少し、体力や持久力も徐々に低下していきます。やがて歩行などの基本的な日常動作にも影響が現れ、転倒リスクの増加や活動範囲の制限につながります。
さらに進行すると、寝たきり状態や要介護状態に至るリスクが高まり、生活の質が大幅に低下。このような深刻な状況を避けるためにも、口腔機能の変化に早期に気づき、適した対応を始めることが重要です。
お一人おひとりのお口の状態を正確に把握するため、当院では包括的な検査を実施しています。検査結果をもとに、患者さまに合った口腔トレーニングをご提案します。
舌の表面に蓄積する細菌の塊である舌苔(ぜったい)の付着状況を詳しく調べる検査です。
舌苔の増加は口臭の主要因となるだけでなく、味覚や温度感覚の低下を招きます。さらに放置すると、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)や口腔感染症(こうくうかんせんしょう)のリスクが高まる可能性があります。
特別に開発されたグミゼリーを噛んでいただき、その後お水を含んで吐き出していただきます。水中に溶け出したブドウ糖の濃度を測定することで、噛む力の精度を数値化します。
咀嚼力(そしゃくりょく:噛む力)の低下は消化不良や誤嚥(ごえん)、栄養不足につながるため重要な指標です。
唾液分泌量の測定を行います。唾液分泌の減少は虫歯や歯周病のリスクを高め、食べ物の飲み込みも困難にします。
発音の速度と正確性を通じて、舌と唇の動きを評価します。これらの筋力低下は食事時間の延長や食べこぼし、嚥下困難の原因となります。
日常生活での食事状況について詳しくお聞きし、飲み込み機能の問題点を探ります。嚥下力の低下は、むせや誤嚥の頻度を高めます。
噛む力を数値で測定し、歯の欠損や噛み合わせの問題、筋力低下の程度を判断します。
専用の測定器を使用して舌の力を評価します。食べ物を上あごに押し付けてすりつぶす舌の力は、咀嚼だけでなく嚥下にも重要な役割を果たしており、低下すると栄養摂取に深刻な影響を与えます。
Instagramで検査風景を投稿しています。下記よりご覧ください。
検査結果をもとに、患者さまの現在の状態と将来のリスクを総合的に評価し、お一人おひとりに適した口腔トレーニングをご提案します。
超高齢社会が進む日本では、健康への関心がますます高まっています。 「いつまでも元気に過ごしたい」というのは、多くの方に共通する願いではないでしょうか。
お口の状態と全身の健康には深い関わりがあります。 筋肉は使わなければだんだんと衰えてしまいますが、お口まわりの筋肉も例外ではありません。健康を維持するためには筋力トレーニングやリハビリなど適度な運動がとても大切です。
年齢を重ねてもおいしく食べ、会話を楽しみ、健やかなお口「健口(けんこう)」で過ごしていただきたいと私どもは願っています。
当院では、ご希望の方に「口腔機能低下症」の検査を実施しております。 お口の状態を一緒に確認しながら、必要に応じてトレーニング方法をご提案いたします。無理のないサポートを心がけていますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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休診日:日曜、祝日
外来休診:月曜
※祝日がある週は診療します。